看護師として働いていく上で、患者さんとのやりとりを大切にするというのが基本的な考え方です。会話を通じてより多くの情報を得ていかなければ、よりよい看護や医療を実現することができません。誰もが何かと隠し事をしてしまうものであり、それを包み隠さずに話してもらえるような関係を作り出すということが看護師には求められています。そのためには、コミュニケーション能力が大切となります。しかし、いかに高いコミュニケーション能力を持っている人でも、なかなか本音を引き出せないことはよくあります。その根底にあるのは、患者さんが安心をしていないということです。コミュニケーション能力が高いというのは、円滑な会話をすることができるという解釈がなされるのが一般的ではないでしょうか。しかし、いかに会話が円滑であったとしても、何を言っても大丈夫だという安心を与えられなければ、隠し事を打ち明けてもらうことはできません。そういった安心感を与えられる存在となることが、医療の現場で必要とされるコミュニケーション能力のある人材ということになります。人によってあるべき対応が異なるため、一辺倒にこうすれば良いというものはありません。しかし、どういった患者さんを相手にするときであっても共通して必要になるのは、相手の話をよく聞くということです。コミュニケーション能力が高い人は自分の話をしてしまいがちになりますが、聞きに徹した方がより良いことも多いと知っておくとよいでしょう。